2025年1月、Ubisoftの社内メールとされる情報をきっかけに、「Ubisoftが財政破綻の危機にある」とする記事が海外で報じられ、5chでも大きな話題になりました。
当時はスタジオ閉鎖やレイオフ、ゲームの延期なども重なり、「本当にUbisoftは危ないのではないか」という声が相次いでいました。
それから約1年半。Ubisoftは倒産していません。
しかし2026年現在、当時の不安を単なるデマだったと片付けられないほど、大規模な事業再編とコスト削減に踏み切っています。
あの「財政破綻危機」報道は何だったのか。そしてUbisoftは現在どうなっているのか。公式決算とその後の動きをもとに振り返ります。
2025年、「Ubisoftが財政破綻危機」と5chで話題に
元記事が公開された2025年2月、話題の発端となったのは、海外サイトThat Park Placeが報じたUbisoftの内部メールとされる情報でした。
当時のUbisoftではスタジオ閉鎖や人員削減などが続いており、記事では同社の財務状況についても非常に厳しい表現が使われていました。
ただし、この時点で「Ubisoftが財政破綻する」と公式に発表されていたわけではありません。
あくまでリーク情報とUbisoftを取り巻く状況から、経営への不安が急速に広がったというのが実態です。
当時の5chでも厳しい反応
5chではUbisoftの経営そのものだけでなく、AAAゲームの開発費高騰や同社のゲーム作り、オンラインサービス、そして『アサシン クリード シャドウズ』を巡る騒動まで含めて議論が広がっていました。
「AAAとかいう無理のある自転車操業」
「お前らゲーム買えよ」
一方、「本当に倒産するのか」という点については冷静な反応もありました。
「本当に潰れる時は船井電機みたいに前情報もなく突然潰れるもんだけどな ただなんとか経営が続けられる状況でもデマが流れると取引先が引いて本当に無理になって潰れることもある」
また、Ubisoftが多数の人気IPとオンラインサービスを抱えていることから、万が一会社そのものが大きく変わった場合を心配する声も出ていました。
「どうせどこかの会社がIP引き継ぐだろうし 今のUPALAY無くなってくれるなら大歓迎だが」
「数週間前にPCアクション板の住民が言っていたけど UBIが倒産すればUbisoft Connectのサーバーが切られ、Ubisoft Connect(UPlay)経由から起動必須のゲームはプレイすらできないってレスがでたが本当になるかも?」
そして、日本のユーザーからは『アサシン クリード シャドウズ』を巡る一連の騒動への不満も噴出していました。
「日本!忍者!アサシン!の最強の素材でこんな事になるとは誰も予想できなかったなw」
当時の反応を見ると、単純な財務問題だけではなく、それまでに積み重なっていたUbisoftへの不満が一気に表面化した話題だったことが分かります。
結局、Ubisoftは財政破綻したのか?
結論から言えば、2026年9月現在、Ubisoftは財政破綻していません。
しかし、その後の公式発表を見ると、大規模な立て直しが必要な状況になったことも事実です。
Ubisoftは2026年1月、組織、事業運営、ゲームポートフォリオを大幅に見直す「Major Reset」を発表しました。
新体制では事業を5つの「Creative House」を中心に再編。ゲームラインナップについても全面的な見直しが行われ、7つのプロジェクトを中止し、6つのプロジェクトを延期しています。
さらに固定費削減や組織規模の適正化も進めており、かつてのUbisoftと同じ経営体制を維持したまま乗り切ろうとしているわけではありません。
2025-26年度は巨額の赤字を計上
Ubisoftが発表した2025-26年度の通期決算では、売上高は約13億9,570万ユーロでした。
IFRSベースの営業損失は約13億2,230万ユーロ、親会社株主に帰属する純損失は約14億7,520万ユーロとなっています。
前年と比較して非常に大きな損失となっており、Ubisoft自身もゲームラインナップの見直しや組織再編、固定費削減を進めています。
一方で、この数字だけを見て「もう倒産寸前」と判断するのも正確ではありません。
Tencentとの取引で11.6億ユーロを調達
Ubisoftは経営再編の一環として、中国Tencentとの大型取引も実施しました。
『Assassin’s Creed』『Far Cry』『Rainbow Six』という主要IPを中心とする子会社Vantage StudiosにTencentが少数株主として出資し、Ubisoftは11.6億ユーロの資金を得ています。
Ubisoftはこの資金を負債圧縮などに活用し、財務体質の改善を進めています。
つまり現在のUbisoftは、「何も問題なく順調」という状態ではない一方、「資金が尽きてそのまま倒産する」という単純な状況でもありません。
主要IPを軸に事業構造そのものを作り直し、コストを削減しながら再建を進めている段階と見るのが実態に近いでしょう。
『アサシン クリード シャドウズ』を巡って失ったもの
Ubisoftの経営問題と『アサシン クリード シャドウズ』を巡る論争に、直接的な因果関係があると断定することはできません。
しかし、同作を巡るUbisoftの説明が一部ユーザーの不信感につながったことは、当時の反応を見るうえで無視できません。
2024年5月、Ubisoftは公式記事で弥助について「実在した歴史上の侍」という位置付けで紹介していました。
ところが日本のユーザーなどから歴史表現について多くの指摘が寄せられた後、同年7月には日本向け声明を発表。
そこでUbisoftは、『アサシン クリード』は史実や歴史上の人物を再現することを目的としたものではなく、歴史から着想を得たフィクション作品であると説明しました。
さらに弥助をゲーム内で侍として描くことについても、「議論の的となっていることは認識している」としています。
もちろん、歴史を題材にしたフィクションで創作表現を行うこと自体は『アサシン クリード』シリーズでも以前から行われています。
問題になったのは、どこまでが史実で、どこからが作品としての創作なのか。そして日本の歴史や文化を題材にする際、その説明が十分だったのかという部分でした。
GAME速AI分析
2025年当時に出回った「財政破綻危機」という表現を、そのまま現在のUbisoftに当てはめることはできません。
一方、その後に7プロジェクトの中止、6プロジェクトの延期、大規模な組織再編、継続的な固定費削減、Tencentからの資金調達が実施されたことを見ると、Ubisoftが従来の経営モデルを大幅に変更する必要に迫られたことは明らかです。
背景にはAAAゲームの開発費高騰、ヒット作品への依存、ライブサービス市場の競争激化など、Ubisoftだけではなく大手ゲーム会社全体が直面する問題もあります。
同時にゲーム会社にとって重要なのは、財務だけではありません。長期シリーズでは、既存ファンとの信頼関係そのものが大きな資産になります。
『アサシン クリード シャドウズ』の歴史表現を巡る論争がUbisoftの経営悪化を引き起こした、と結論付ける根拠はありません。しかし、作品の説明やプロモーションによって一部の長年のファンに不信感を持たれたことは、ブランド運営という観点では軽視できない問題です。
2026年現在のUbisoftは「破綻した会社」ではなく、主要IPと資産を残しながら、会社の構造そのものを大きく作り替えている途中です。
最終的に再建が成功するかどうかは、コスト削減だけではなく、再びユーザーが「この会社のゲームを買いたい」と思える作品を作れるかにかかっているでしょう。
まとめ
2025年初頭に話題になった「Ubisoft財政破綻危機」。約1年半後の現在、Ubisoftは倒産していません。
しかし、その後7つのプロジェクトを中止し、6つを延期。5つのCreative Houseを軸とした大規模な組織再編と固定費削減を進めるなど、会社は大きな転換期を迎えています。
さらに2025-26年度には巨額の損失を計上する一方、Tencentとの取引によって11.6億ユーロを調達し、負債圧縮と事業再建を進めています。
当時の「もうすぐ破綻する」という見方は結果として現実にはなっていませんが、「Ubisoftはこのままで大丈夫なのか」という懸念そのものには、その後の大規模再編につながるだけの背景があったと言えそうです。
管理人コメント
正直、私は今のUbisoftの状況を見ても、あまり素直に同情する気にはなれません。
特に不信感を持ったのが『アサシン クリード シャドウズ』です。
私はアサクリというシリーズが、フィクションでありながら実在した時代や人物をしっかり調べ、その中に創作を混ぜ込むところが魅力だと思っていました。だから、フィクションを入れること自体に怒っているわけではありません。
一番納得できなかったのは、発売前には弥助を「実在した歴史上の侍」として強く打ち出していたのに、歴史表現への批判が大きくなった後には「歴史フィクション」であり、弥助を侍として描くことには議論があると説明したことです。
最初から「史実には議論があるけれど、このゲームでは侍として描きます」と言っていたなら、私はここまで腹を立てなかったと思います。
そして、日本が舞台になったアサクリで、侍側の主人公になぜ日本人ではなく弥助を選んだのかという疑問も残っています。奈緒江という日本人主人公がいることは分かっています。それでも、日本人の侍を主人公にできた枠の一つに弥助を選んだことには、今でも納得していません。
欧米には黒人奴隷制や人種差別という、自分たちの歴史として向き合うべき重い問題があります。それを克服しようとすること自体に異論はありません。ただ、そのために日本やアジアの歴史的な表象が後回しにされたように見えるのであれば、「その負担をアジア側に持ってくるなよ」と私は思います。
もちろん、Ubisoftがそういう目的で弥助を選んだと断定できる証拠があるわけではありません。だからこれはあくまで、主人公選定やその後の説明を見た私自身の受け止めです。
それ以上に嫌だったのは、こうした歴史表現や主人公選定に疑問を持つことまで、差別の問題として片付けるような議論が出てきたことです。弥助が黒人だから嫌なのではなく、日本の歴史をどう扱い、それをどう説明したのかに納得できなかったんです。
いろいろ理屈を書きましたが、結局のところ私は『アサシン クリード シャドウズ』が嫌いです(笑)。
だからUbisoftが現在これだけ大規模な立て直しを迫られているのを見ても、「どうしてこうなったんだろう」と同情するより、「ユーザーからの信頼を取り戻すところからじゃないの?」と思ってしまいますね。
情報元
Ubisoft – 2025-26年度通期決算
Ubisoft – 2026年1月 大規模組織・事業再編について
Ubisoft – 『Assassin’s Creed Shadows』発表時の弥助・奈緒江紹介
Ubisoft – 『アサシン クリード シャドウズ』開発チームより、日本の皆さまへ
5ch – 元スレッド


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