2024年9月、任天堂と株式会社ポケモンが『Palworld / パルワールド』を開発・販売するポケットペアを相手取り、東京地方裁判所へ特許権侵害訴訟を提起しました。
訴訟直後には「巨額の賠償金になるのではないか」「ソニーやアニプレックスとのIP展開にも影響するのでは」とさまざまな予想が飛び交い、当時の5chでも大きな議論になっています。
中には過去の任天堂とコロプラの訴訟などを参考に、「150億~200億円程度が賠償金額の最低ラインとなる可能性」を論じる記事まで登場しました。
しかし、それから約2年。
実際に明らかになった訴訟内容と、その後の『パルワールド』の変化を見ると、当時想像されていた展開とはかなり違う状況になっています。
任天堂・ポケモンがポケットペアを提訴
任天堂と株式会社ポケモンは2024年9月18日、ポケットペアが開発・販売する『パルワールド』が複数の特許権を侵害しているとして、東京地方裁判所へ訴訟を提起しました。
ここで重要なのは、「パルのデザインがポケモンに似ている」ということ自体を争う著作権侵害訴訟ではないという点です。
ポケットペアが同年11月に公表したところによると、対象となったのは特許第7545191号、第7493117号、第7528390号の3件。
捕獲アイテムを使ったキャラクターの捕獲や、キャラクターをフィールドへ出して戦わせる仕組み、キャラクターへの搭乗など、ゲームシステムに関係する特許が争点となっています。
「150億~200億円」説まで登場していた
訴訟直後の2024年10月、当時の記事では任天堂とコロプラの『白猫プロジェクト』を巡る訴訟などを引き合いに出し、『パルワールド』の売上規模から巨額の賠償金になる可能性が論じられていました。
そこで示されたのが「150億~200億円程度が最低ラインになる可能性」という非常に大きな数字です。
しかし5chでは当時から、この計算方法に疑問を呈するユーザーがいました。
「これ和解したからその額になっただけなんよね」
「コロプラの場合あれって和解でしょ 金額の他に任天堂から突きつけられた合意条件を飲んだ上で3割に減らしてもらったんじゃないのか? 今回も和解になるか全面敗訴になるかで金額とかその他条件とかかわってくるでしょ」
さらに、会社全体の売上や利益から単純に賠償額を推測することへの疑問も出ています。
「このスレにも売上や利益で賠償額が決まると思ってる人多い」
結果として、この「150億~200億円」という数字は任天堂や株式会社ポケモンが公表した請求額ではなく、当時の記事内で示された推測にすぎませんでした。
実際に公表された請求額は「各500万円+遅延損害金」
その後、ポケットペアが2024年11月8日に訴訟内容を公表。
任天堂と株式会社ポケモンが求めているのは、『パルワールド』の差止めに加え、株式会社ポケモンに500万円、任天堂に500万円、それぞれ遅延損害金を加えた金額でした。
ただし、これは損害の「一部」を請求するものとして公表された内容です。
したがって「最終的な賠償額が必ず合計1000万円になる」と断定することもできませんが、少なくとも2024年当時に話題となった「150億~200億円が最低ライン」という数字が、そのまま実際の請求内容になったわけではありません。
ソニー・アニプレックスにも影響する?当時の5chでは議論に
この訴訟が注目されたもう一つの理由が、ポケットペアとソニー・ミュージックエンタテインメント、アニプレックスによる『パルワールド』のIP展開でした。
2024年7月には3社によるPalworld Entertainmentが設立され、ゲーム以外を含めたIP展開を進めることが発表されていました。
その直後に任天堂・株式会社ポケモンとの訴訟が起きたため、5chではソニー側のリスク管理を疑問視する声も出ています。
「訴訟リスクがあるところと提携すること自体が リスクマネジメントができてないんじゃね? って言われてるの 理解できない? 敗訴したらブランディング戦略そのものが揺らぐ」
一方で、ゲームそのものとゲーム外のIP展開を分けて考えるべきだという意見もありました。
「ソニーと共に立ち上げたIP管理会社はゲーム無関係なんすけど」
当時は訴訟の結果そのものが分からなかったため、「ソニー側にも大きな影響が出る」といった予測まで含め、さまざまな憶測が入り混じっていたことが分かります。
ポケットペアは係争中にゲームの仕様を変更
そして、その後の展開で特に興味深いのが『パルワールド』自体の仕様変更です。
ポケットペアは2025年5月、係争中の訴訟について公式声明を発表しました。
同社によると、2024年11月30日のアップデートでは、それまでパルスフィアを投げてパルを召喚していた仕組みを変更し、プレイヤーの近くへ直接パルが現れる方式に変更。
さらに2025年5月には、パルによる滑空についても、グライダーアイテムを使用する方式へ変更すると発表しました。
ポケットペアは特許侵害の主張に反論し、対象特許の無効も主張する一方、ゲームの開発・配信への影響を避けるためにこうした変更を行ったと説明しています。
仕様変更したら裁判は終わる?
ここで疑問になるのが、「問題となったゲームシステムを変更したのなら、訴訟はどうなるのか」という点です。
仕様を変更したからといって、それ以前のゲームが特許を侵害していたかどうかという争点まで自動的になくなるわけではありません。
2026年7月時点の公開情報を整理した弁理士法人シアラシアによると、東京地裁での訴訟は継続中です。
同解説では、原告側が2025年11月に請求範囲を仕様変更前の旧バージョンへ限定したと報告されています。
つまり現在の『パルワールド』をそのまま止めるというより、変更前のゲームが対象特許を侵害していたのかという部分が重要な争点になっているとみられます。
2026年9月18日時点で裁判所による最終的な判決は出ていません。
「ポケモンに似ている」と「法律上の権利侵害」は別問題
『パルワールド』が発表された当初から、キャラクターデザインなどについて『ポケットモンスター』シリーズとの類似性を指摘する声は数多くありました。
しかし、今回実際に任天堂と株式会社ポケモンが提起したのは特許権侵害訴訟です。
キャラクターの見た目が似ているかどうかを直接争う裁判ではありません。
なぜ任天堂側が著作権などではなく特許権による訴訟を選択したのか、その法的戦略について任天堂側が詳細な理由を公表しているわけではありません。
そのため、「デザインでは勝てないと判断したから特許で訴えた」と断定することもできません。
一方で今回の裁判は、一般ユーザーが感じる「似ている」という印象と、裁判で具体的な権利侵害を主張することが別の問題であることを示す事例とも言えそうです。
GAME速AI分析
2024年当時の議論と2026年現在の状況を比較すると、この訴訟では「パルワールドはポケモンに似ている」という印象論と、実際の法的な争点を分けて考える必要があります。
裁判で争われているのはキャラクターの印象ではなく、具体的なゲームシステムに関する特許です。
また、訴訟が始まった直後には巨額賠償の可能性が注目されましたが、売上高や企業利益から単純に損害賠償額を推測することはできません。
ポケットペアがゲームの仕様を変更した点も重要です。
ソフトウェアやゲームを巡る特許紛争では、問題とされる仕組みを別の方式へ変更する「設計変更」によって、将来の権利侵害リスクを回避する方法があります。
ただし設計変更後の製品が特許を回避できたとしても、変更前の仕様が侵害していたかどうかという過去の問題まで消えるわけではありません。
そのため、「仕様変更したからポケットペアの勝ち」「裁判を起こしたから任天堂の勝ち」と現時点で結論付けることはできません。
むしろ注目すべきなのは、裁判所が対象特許の有効性と旧バージョンのゲーム仕様について、最終的にどのような判断を示すのかでしょう。
発売直後にはデザインの類似性を中心に語られることが多かった『パルワールド』ですが、実際の裁判はゲーム特許がどこまで保護されるのかという、より技術的な争いになっています。
まとめ
2024年当時、『パルワールド』を巡る訴訟では「150億~200億円規模の賠償になるのではないか」という予測まで登場しました。
しかし実際にポケットペアが公表した当初の請求内容は、ゲームの差止めと、任天堂・株式会社ポケモンそれぞれ500万円+遅延損害金というものでした。
その後ポケットペアは、パルの召喚方法や滑空などゲームの一部仕様を変更。
それでも裁判自体がなくなったわけではなく、2026年現在も変更前のゲームを中心とした争いが続いています。
そして何より重要なのは、今回の訴訟が「キャラクターが似ている」という理由そのものを争う裁判ではなく、ゲームシステムに関する特許権侵害訴訟だということです。
当時の予想と実際の展開にはかなりの違いが生まれていますが、最終的にどのような司法判断が示されるのか、まだ答えは出ていません。
管理人コメント
確かに『パルワールド』を初めて見たとき、「ポケモンに似てるな」と私も思ったので、任天堂と株式会社ポケモンが訴訟を起こしたこと自体は理解できます。
ただ、改めて見ると今回の裁判って「キャラクターのデザインが似ている」という理由で争っているわけではないんですよね。実際に争点になっているのは、捕獲やキャラクターの召喚、搭乗などに関する特許です。
しかもポケットペア側は、その後ゲームの一部仕様を変更しています。
そうなると素人目には、「問題になった仕組みを変更されたら、この裁判は最終的にどうなるんだ?」と思ってしまいます。もちろん変更前の仕様についての争いまでなくなるわけではないので、単純に「変更したから終わり」という話ではないようですが。
個人的にもう一つ気になるのは、これだけ「ポケモンに似ている」と話題になった作品なのに、裁判ではデザインそのものではなく特許が争点になっていること。
「似ている」という感覚と、法律上「権利を侵害している」と認められることは、まったく別の話なんだろうなと思います。
任天堂側がなぜ著作権などではなく特許で争うことを選んだのか、その判断の理由までは分かりません。ただ、この裁判が最終的にどんな結論になるのかはかなり気になりますね。
情報元
任天堂 – 株式会社ポケットペアに対する特許権侵害訴訟の提起について
ポケットペア – 特許権侵害訴訟に関するご報告
Pocketpair – Regarding the lawsuit, changes to Palworld and the future
弁理士法人シアラシア – パルワールド訴訟はいま、どうなっているのか(2026年7月版)
5ch – 元スレッド


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